みつわBLOG
7.32025
PSペーパーとアートの可能性を探る~墨の相性は?~

県内の水墨画家さんと、実際に描いてみました
前回のブログでお伝えした「房州うちわプロジェクト」。
落花生の殻を漉き込んだオリジナル紙「PSペーパー」を使い、千葉の伝統工芸・房州うちわに新しい風を吹き込もうという、私たちの小さな挑戦です。
今回はそのプロジェクトの一環として、PSペーパーと墨の相性を試してみる、ちょっと特別な時間を過ごしてきました。

■ 協力してくださったのは、千葉県水墨会の皆さま
今回ご協力いただいたのは、千葉県水墨会(公式サイトはこちら) の河瀬蛙友先生と、会員・生徒の皆さま。
普段から弊社では、先生方の画集や展覧会の印刷をお手伝いさせていただいています。

今回は特別に、房州うちわの形状にカットしたPSペーパーに、水墨画を描いていただく実験的な機会を設けました。
■ 千葉県水墨会について
千葉県水墨会は、「世界に誇れる日本の芸術である水墨画を広く啓蒙する」ことを目的に、画家・石井成兒氏によって1965年に設立された歴史ある団体です。
水墨画の普及と交流の場として「千葉県水墨会展」を毎年開催しており、現在は**「墨の県展」**という名称で、会員の皆さまの作品を広く紹介しています。
また、芸術文化の発展に尽力され、画家仲間と共に千葉県立美術館の建立にも携わったという功績もあります。
地域に根ざしながら、水墨画の魅力を次世代へつなげる——
そんな活動を続けておられる千葉県水墨会の皆さまとご一緒できたことは、私たちにとっても大変光栄な機会となりました。



■ 描いていただいた感想は……
実際に筆をとった河瀬先生からは、たくさんの温かい感想をいただきました。
- 「墨がたまるけれど、描きやすい紙ね」
- 「楮や三椏、雁皮の和紙とは違うけれど、これはこれで面白い」
- 「筆の走りがとても良い」
- 「鶸色(ひわいろ)を淡くしたような、やさしい色味も好きよ」
※鶸色とは、黄緑がかったやわらかなクリーム色を思わせる、日本の伝統色です。
PSペーパーは、墨の吸収がほんの少し遅く、先生いわく「迷いなく描かないといけないけれど、そのぶん素直な紙」。
描き味に真剣に向き合ってくださる姿に、私たちも紙の可能性を改めて感じることができました。
さらに、「落花生から生まれた紙」という背景にも深く共感してくださり、
千葉県知事や千葉市長と展覧会でお会いした際に推薦してくださったというお話まで伺いました。
私たち以上に誇りを持ってくださっているようで、本当にありがたく、心に残る時間となりました。


■ 描く様子を動画でも記録しています
当日は、弊社内でPSペーパーのプロモーションを担当しているチームが、動画撮影も同時に実施。
インタビューを交えつつ、水墨画がPSペーパーに描かれていく様子を丁寧に記録しました。
現在、編集中ではありますが、いずれ皆さまにも動画としてご覧いただけるよう準備を進めています。
楽しみにしていただけたら嬉しいです。
■ 水墨画の世界に、引き込まれた一日
この日はPSペーパーの試し描きが主な目的ではありましたが、
河瀬先生との対話の中で、水墨画という表現の奥深さや、紙との対話の大切さを、たくさん教えていただきました。
伝統や文化を、身近な素材を通して次の世代へとつなげていく——
そんな営みの端っこに、私たちの紙や技術が少しでも関われたら、これほど嬉しいことはありません。
■ 最後に
水墨画のさらなる魅力については、また別の機会にご紹介できればと思います。
今回は、房州うちわプロジェクトの中で行われた絵付け実験の様子をお届けしました。
プロジェクトはまだ始まったばかり。
時間はかかるかもしれませんが、うちわの完成に向けて、一歩ずつ取材と製作を進めていきます。
今回も、ブログをご覧いただきありがとうございました。
引き続き、小さな印刷会社のちいさな挑戦を、あたたかく見守っていただけたら嬉しいです。
【関連ブログ】
▶ 小さな印刷会社の、ちいさな挑戦|房州うちわプロジェクトはじめます!
— プロジェクトのきっかけや背景についてご紹介しています